居場所はきっとあるはずだから

備忘録を兼ねた日々のメモ帳

見田組のポチ

今日もこんな時間 このまま起きてる作戦をしようと思うが きっと昨日のように昼寝をしてしまいそう

なんの予定もないし 気にしないでおこう そのうち戻るだろう


たまに子供達のことで思うことがある

あなた達の人生は楽しいですか?

学生の時は楽しかったですか?

幼稚園前のことは覚えていますか?

私達の時代と比べると あまりにも自由がなくて なんて可哀想な今の子たち と思っていました

学校生活は私は申し分ないくらい満足だった

家庭内は別として


私の通っていた小学校は 湖の前に立っていて 湖側の南と校舎側の北に道があり南側の地域と北側の地域 そして西側の急すぎる坂の三方向から子どもたちが通っていた


1年生のある日の放課後 北側の地域の子たちとグランドで遊んでいた もちろん帰る方向が違うわけで 久しぶりに一人寂しく帰っていた 前に2年生の女の子が二人で歩いていた

「ゲゲゲ あぁ大っ嫌いな二人だ…」

睨むし コソコソ話はするし ばかみたいにずーっと一緒だし←これ関係ないよね笑


抜かして帰りたいけど 抜かす瞬間何かされる だって意地悪なんだもん 一回首に巻いてるスカーフを引っ張ってきたんだから!

近づきすぎないよう ちらちらその子達を見ながら歩いていた


幼稚園に入る前 家の近くの公園に捨てられていた3匹の子犬が死んでしまって 幼馴染と坂の下にある大きな公園のワンワンポストに入れに行ったことがある

そのワンワンポストの前で先を歩いていた二人の2年生が何かしている

何してるのかなぁ?ちょっと気になり見てみると 小さな小さな真っ白い子犬を抱いているのが見えた

“うわぁー見たいな見たいな”あの二人早く帰らないかなぁ

しばらく待っていたけど ちっとも帰る気配がない


何言われてもいいや 思い切って行ってみることにした

「私にも抱かせて」

二人の2年生は 駄目 私達が先に見つけたんだもん 絶対に触っちゃ駄目 絶対に触らせないもん ねぇーーーー(これあるある 二人で顔を斜めにして言ってるの 想像つくでしょ)

二人は子犬を飼うらしく 一回家に帰って準備して連れに戻って来るそうだ

ワンワンポストを離れるとき二人は

絶対触っちゃだめだからね もう 私達の犬なんだから!って


私の家に帰る道は普段通る坂と 魚の加工場を横切ってその上に住んでるお爺さんが作ったお手製のくたびれた階段を登り そのおじいさんの畑を更に横切り 今度はまたお爺さんのお手製の 後ろに倒れそうなハシゴを登る もうひとつは公園の反対側をぐるっとまわって 手すりにつかまらないと落ちてしまいそうな急な坂 この三つ


あの二年生はどの道から帰るんだろう

急な坂は遠い 加工場は一番近いけど 加工場の番犬ジローがいる 人を見れば終始吠えて追いかけてくる 必死で逃げたことが何度もある その畑の先のハシゴの横の家にはお爺さんがいるけど みんなに不気味がられて ハシゴを登るのを見たら連れて行かれるって…絶対に子犬を抱っこしたい私は 2年生に見られないようにしゃがんで時を待った

 

2年生二人は加工場を歩いていた

きっとジローはお昼寝中なんだな

急いでワンワンポストの蓋を開け 子犬を抱っこした 可愛くてたまらない あんな意地悪に飼われたらこの子犬が可哀想 なんとかしなければ 考えてもいい知恵など出るわけがない もう母に頼むしか手はない


犬をお腹のところで抱いて服をかけ 普段通る坂を目指した 急がなきゃ 急がなきゃ 早くしないと見つかってしまう

やっと坂を上りきり 左に曲がった突き当りのうちを目指す 急いで曲がろうとした瞬間 うちの前を歩いてる二人が見えた

どうしよう!どうしよう!なにかいい方法がないものかと角の家を見たとき たくさんのベニア板が地面にグシャグシャに置いてある ひとまずその重なったベニア板の隙間に子犬を入れた

そして家に帰って母親に斯々然々説明して

子犬を迎えに来よう


子犬を置いてきた家と私の家のちょうど真ん中で二人の2年生とすれ違った

「犬 さわってないよね!?」

触るも触らないも そこにいる

つまり その二人はどんどん子犬のいる場所に近づいているのだ

平静を装って悟られまいと家の玄関を開ける

慌てていれば2年生に気づかれる

玄関のドアを閉めた途端

「おかーさん!おかーさん!」

何度も説明し子犬を飼わせてとお願いしたが無理 しかも今日は家から出さないって

子犬を見に行くのも駄目だって…


クンクン鳴いて見つかってたらどうしよう

ベニア板の間にいるのに気づかれず 角の家の人が踏んで死んでたらどうしよう

気になって仕方なかった

母は子犬が自分で歩いて逃げちゃってるよって


明くる日 早く確認したくて走って家を出た もう本当に逃げちゃってるよね 一晩中同じ場所にいるわけないよね

恐る恐る覗いてみた

とんでもないことが起きていた

そこには立派な犬小屋が建っていて

その犬小屋に住むには小さすぎる子犬が入っていた


そのことを母に伝えに行こうとしたが

ちょっと待てよ

学校から帰ってきてからでいいね


犬小屋を建てて飼ってくれたお家は

大工さん

大きな“見田組”と書かれた電柱より太い柱が立っている

私は子供ながらに 映画で観る〇〇組だと思っていたから 大工さんって母に聞くまでは

優しい〇〇〇もいるんだなって思っていたのだ


その子犬 私は勝手に「ポチ」と呼んでいたが どういうことでしょう

私は12年間その家の前を通り学校に通っていたが 私を見て吠えない日はなかった


ポチよ 助けてあげたの私だよ

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